あたしたち別れましょ。
未来


「…ここ」



「いつからだろうな…ここに来なくなったの」



「高校卒業しても…来てたのにね」



着いた場所は丘の上にあるベンチ。


あたしたちがいつもケンカした時に仲直りの場所として来ていた場所だ。



「…ベンチ座ろうぜ」



「うん」



ケンカしていてもこのベンチを座る時は隣りに座っていた。


でも今は1人座れるほど距離が開いてしまった。



「…本当いつからだろうな」



「え…?」



「ここに来なくなったのも同様にこうしてちゃんと話し合うことをしなくなったのは…」



正樹の言う通りだ。


いつからだろう。

2人で部屋にいても会話することもなくお互い違うことして過ごすようになったのは。


好きという気持ちを見失い、居て当たり前の存在になり、相手のことを想えなくなったのは。



「美幸…そう名前を呼ぶだけで嬉しかった日もあったのに、本当ごめん。

美幸の名前を呼ばなくなった自分に気づいてなかった」



付き合い初めはいつも恥ずかしそうに名前を呼んでくれていた正樹を思い出す。

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