あたしたち別れましょ。
「正樹…あたしもありがとう。
9年間、正樹の隣にいれてとても楽しかったよ」
あたしも前に進まないと…。
正樹はもう歩き出したんだから。
そう思いながら溢れ出た涙は止まらない。
こんな別れの時に今までの思い出が頭の中に駆け巡っていく。
「美幸」
「なによ…」
「泣くなよ」
「そんなこと言われても…」
止めようにも止まらないんだもの。
「なぁ、美幸。お前に言いたいことがあるんだけど?」
「…何?」
別れたんだ、きっと会うのも今日で最後…。
何を言われるんだろう…。
拒否するような言葉は言われたくない。
泣きながらきっと最後になる正樹の言葉を待つ。