あたしたち別れましょ。


正樹がベンチから立ち上がる。


「一言で言う」



「うん…」


あたしもベンチから立ち上がってお互い向き合う体制になった。



「俺と結婚してくれないか?」



「......え?」



「あ、泣き止んだ」



「いや、ちょっ、え、どういうこと?」



そりゃ、びっくりして涙も止まるわ。



「だから、俺と結婚してくれってこと」



顔を少し赤らめ、あたしの目の前に小さな箱を出してその中を開ける正樹。



「今日来る時から決めてた。

どんなことになろうとも絶対後悔しないように気持ちは伝えたいって」



正樹が開けた小さな箱にはキラキラ輝く指輪。



「美幸の別れを告げられて、美幸の存在の大きさに気づいた。

もう手放したくないから。

俺は美幸の隣でずっと生きていきたいから。

美幸を守っていきたいから。

今度こそずっと美幸を大切にする!

だから、俺と結婚して下さい」



正樹との将来に幸せを感じれなくて別れを選んだ。


隣にいることに慣れすぎてお互いの大切さを忘れてしまったあたしたち。



そんなあたしたちでもまたお互いの大切さに気づいた今、これから幸せになれるかな…?


< 37 / 40 >

この作品をシェア

pagetop