【完】『潮騒物語』

「シュンはなんでも黙るよね。こないだだって」

高校の後輩の女子から告白されたことを隠してたもんね、と萌々子はいった。

「あれは隠したわけじゃなくて、萌々子に話すレベルじゃなかったから」

「じゃあ、私が誰かに告白されてもシュンは黙ってるはずだよね?」

学園祭のときに私がナンパされたの聞いたら怒ったじゃん──と萌々子はいい、

「筋が通らないじゃん」

と萌々子は、えぐるようないいかたをした。

二人してベンチに腰を下ろした。

駿太郎は口を閉ざして観覧車に目をやってたが、

「…少し距離、おかないか?」

この頃うちら喧嘩ばっかりだから、と駿太郎は立ち上がると歩き始めた。

萌々子は、ベンチに座ったままでいる。

無意識のうちに別離を意識していたのかもわからない。



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