密儀【TABOO】
想様は、それもそうだな、と私から視線をそらした。
村の大主様のご長男である想様の婚儀は、さぞかし盛大に行われるのでしょう。それを見られないことが悲しい。
想様の横顔がいつになく真面目な面持ちにかわる。
「ならば、今言ったことは俺とゆきの秘密にしてくれ」
「秘密にございますか? それならば、もう一つ秘密をください」
想様の横顔に恐る恐る手を伸ばす。
「この秘密があれば、私は生涯幸せでいられます」
「ゆき……何を?」
「顔も知らぬ男に嫁ぐ私を、あなた様が幸せにしてくださいませ」