「異世界ファンタジーで15+1のお題」一
001:古びた時計
(…きっと、こんな天候のせいなのだ…)
私の悪い癖…
時折、急にどこか知らない場所へ導かれてしまうこと…
それは、空を流れ行く白い雲を眺めている時だったり、何かに疲れてふっと心の緊張がほぐれた時だったり…
とにかく、どういう条件が整った時なのかいまだ私自身把握出来てはいないのだが、「見知らぬ場所へ行きたい」という強い衝動に突き動かされてしまうことがあるのだ。
その衝動は、脳に達した時点で押さえきれないものとなり、考える暇もないうちに私は行動に移していることが多い。
移動手段についても、当然、何も考えてはいない。
今回は馬車だったが、いつもそうだとは限らない。
馬車に揺られながら、流れ行く風景に目を移す…
そして、気に入った場所で唐突に馬車を降りる。
それは、たいてい湖や森の見える場所であることが多い。
湖や森なら、私の屋敷の近くにもある。
わざわざ遠出をして、湖や森ばかりに行くというのも馬鹿馬鹿しいことだと思うのだが、どうしても私はそういう場所にひかれてしまうのだ。
今回、私が降り立った場所もまたいつもと同じような美しい碧色の湖の見える場所だった。
誰もいない湖のほとりをゆっくりと時間をかけて散策する。
これといって物珍しいものはないが、とても静かなその場所は、まるで、この世界に人間は私一人しかいなくなってしまったような…
そんな幻想を抱かせてくれて、その不思議な感覚を私は楽しむ。
湖を堪能した後、私はそこから続く森の中へ足を踏み入れた。
植物というものは、その存在だけで私の心に穏やかなものを与えてくれる…
なんともいえない心地良さに包まれながら、私は森の中をゆっくりと進んで行った。
森は進んで行く程にだんだんと木々の密度を増し、薄暗くなっていく…
ここには、誰かが足を踏み入れたような痕跡がまるで感じられない。
ここは現実の世界とは違うどこかなのではないか…?
そんな御伽噺のような想いが強まる。
しかし、恐怖心のようなものは少しも感じない。
ただ、歩き辛い状態になっていることが厄介なくらいだ。
こういう場合、むやみに歩き回るのは危険なことだと分かっているのだが、もはや戻る道さえ見失ってしまっていることに私は気が付いた。
私は気分を改めるために、一本の大きな木の根元に腰を降ろし、しばらくそこで休むことにした。
道がわからないという不安はあったのだが、この森特有の妙な心地良さと朝から馬車に揺られていたためなのか、私は知らない間にその場で眠り込んでいた。
ふと目が覚めるとあたりはいつの間にか真っ暗な闇に包まれていた。
私の悪い癖…
時折、急にどこか知らない場所へ導かれてしまうこと…
それは、空を流れ行く白い雲を眺めている時だったり、何かに疲れてふっと心の緊張がほぐれた時だったり…
とにかく、どういう条件が整った時なのかいまだ私自身把握出来てはいないのだが、「見知らぬ場所へ行きたい」という強い衝動に突き動かされてしまうことがあるのだ。
その衝動は、脳に達した時点で押さえきれないものとなり、考える暇もないうちに私は行動に移していることが多い。
移動手段についても、当然、何も考えてはいない。
今回は馬車だったが、いつもそうだとは限らない。
馬車に揺られながら、流れ行く風景に目を移す…
そして、気に入った場所で唐突に馬車を降りる。
それは、たいてい湖や森の見える場所であることが多い。
湖や森なら、私の屋敷の近くにもある。
わざわざ遠出をして、湖や森ばかりに行くというのも馬鹿馬鹿しいことだと思うのだが、どうしても私はそういう場所にひかれてしまうのだ。
今回、私が降り立った場所もまたいつもと同じような美しい碧色の湖の見える場所だった。
誰もいない湖のほとりをゆっくりと時間をかけて散策する。
これといって物珍しいものはないが、とても静かなその場所は、まるで、この世界に人間は私一人しかいなくなってしまったような…
そんな幻想を抱かせてくれて、その不思議な感覚を私は楽しむ。
湖を堪能した後、私はそこから続く森の中へ足を踏み入れた。
植物というものは、その存在だけで私の心に穏やかなものを与えてくれる…
なんともいえない心地良さに包まれながら、私は森の中をゆっくりと進んで行った。
森は進んで行く程にだんだんと木々の密度を増し、薄暗くなっていく…
ここには、誰かが足を踏み入れたような痕跡がまるで感じられない。
ここは現実の世界とは違うどこかなのではないか…?
そんな御伽噺のような想いが強まる。
しかし、恐怖心のようなものは少しも感じない。
ただ、歩き辛い状態になっていることが厄介なくらいだ。
こういう場合、むやみに歩き回るのは危険なことだと分かっているのだが、もはや戻る道さえ見失ってしまっていることに私は気が付いた。
私は気分を改めるために、一本の大きな木の根元に腰を降ろし、しばらくそこで休むことにした。
道がわからないという不安はあったのだが、この森特有の妙な心地良さと朝から馬車に揺られていたためなのか、私は知らない間にその場で眠り込んでいた。
ふと目が覚めるとあたりはいつの間にか真っ暗な闇に包まれていた。