「異世界ファンタジーで15+1のお題」一
「彼女がどうしたのか?」

「あぁ…さっきの様子を見た限りじゃ、あの大道芸人のうちの誰かにふられたんだろうと持ってたんだけど、どうやらそうじゃないらしいんだ。
さっき、あんまり彼女が落ち込んでるから、あの男のことは諦めな!って言ったら、『あなたは勘違いをしている。私はこの先の町に行きたいだけ。』って、そう言ったんだ。」

「この先の町に行きたいだけ?
一体、どういうことなんだ?
それが、なぜ、彼らに関係あるんだ?」

「それがわからないから気になってるんだ…
あんた、どう思う?」

「どう思うも何も、今の状況ではなにもわからないではないか。
明日、彼女に話を聞いてみるしかないんじゃないか?」

「…やっぱり、そうか…
仕方ないな。
じゃ、明日まで待つか…」

セルジュは、すっきりしない顔つきで部屋を出て行った。







次の日、昼近くになってやっとルシアが部屋から出てきた。



「おはようございます。」

「やっと起きたか。
今、食べるものを用意するからな。」

「昨夜は眠れたかい?」

「はい。とても。」

そう答えたルシアの顔は、寝過ぎたせいか、昨夜の涙のせいなのか、まだ少し腫れぼったい瞼をしていた。



そのうち、セルジュがルシアに軽い朝食を運んで来た。
ルシアは、昨夜とは変わって、落ちついた様子でそれを口に運んでいる。



「ルシア、そういえば、昨夜、まだ紹介してなかったな。
この人はレヴ、それと、もう一人ひょろ長いのがいただろ?
あれがグレン。
彼は、もう仕事にでかけたけどな。」

「セルジュさん達はお仕事は大丈夫なんですか?」

「あぁ…俺達は、ちょっとばかし理由があって今は無職なんだ。
グレンに居候させてもらってる身分なんだ。」

「そうだったんですか…」

「それで…ルシア…
良かったら、君の事情を話してもらえないか?」

私のその言葉を聞くと、ルシアの動きが止まった。
言いたくないのか、何かを考えているのか…



「いやなら無理にとは…」

「お話しします。」

私が言葉を言いきらないうちに、きっぱりとした口調でルシアがそう言った。

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