「異世界ファンタジーで15+1のお題」一
「うわぁ!
…びっくりした!
あんた達、一体いつの間に入って来たんだい?」
その声に驚いたのは、私達の方だ。
今まで、誰もいなかった店内には、声を上げた恰幅の良い中年の男と、窓際の席に同じ位の年齢の男が座っていた。
窓際の男は、片手に新聞を持ちながらコーヒーを飲んでいたので、私達のことには気付かなかったようだ。
「さっきだよ。
そしたら、この時計が停まってるのに気が付いて、今、螺子を巻いた所なんだ。」
「そいつはありがとう。
いつも気を付けて螺子を巻いてるつもりだったんだが、いつ切れたんだろうな。
…ところで、あんた達、注文は何にする?」
「そうだな…じゃあ、俺はコーヒーとなんでも良いから食べるものを頼む。」
「では、私は紅茶とオムレツを…」
私達は、カウンターに席を取った。
「あんたら、旅の人かい?」
「そうなんだ。
しかし、ここまでは遠かったよ。」
「遠かったってどこから来たんだ?」
「えっと…そういや、町の名前を聞いてなかったな。」
「とにかく、ここに来るまでかなり遠くて、間には民家が何軒かあるだけで…」
「あぁ、わかった。
そいつは多分、ロマーナの町のことだな。
町の真ん中に大きな広場がある…」
「そうそう!そこだ!」
「よくもあんな所から歩いて来たもんだな。
馬車に乗って来りゃあよかったのに…」
「馬車なんてあったのか?」
「あぁ、1年ほど前から乗合馬車が出来たんだ。
ここに来る途中、出会わなかったか?」
「しかし、そんなものは見なかったが…」
二人の会話を聞いているちに、私の頭の中にその理由が浮かんだ。
店の主人が厨房に引っ込んだ隙に、私はそのことをセルジュに耳打ちした。
「わかったぞ、セルジュ、馬車をみかけなかった理由が…」
「どういうことなんだ?」
「つまり、この町はまだ死んでいたからだ。
ここからの馬車は出ていなかったんだ。」
「何っ?じゃあ、こことグレンのいる町では1年の隔たりがあるってことなのか?」
「……それはよくわからない。
だが、グレンが馬車のことを言わなかったのは、そういうことなのか、それともただ知らなかっただけなのか…」
「……よそうぜ、レヴ。
こんなこと考えてたら、なおさら頭がこんがらがっちまう。」
「そうだな…君の言う通りだ…」
この世界の時間は一体どうなっているのか?
とても気にはなるのだが、今はそのことは考えない方が良いように思えた。
…びっくりした!
あんた達、一体いつの間に入って来たんだい?」
その声に驚いたのは、私達の方だ。
今まで、誰もいなかった店内には、声を上げた恰幅の良い中年の男と、窓際の席に同じ位の年齢の男が座っていた。
窓際の男は、片手に新聞を持ちながらコーヒーを飲んでいたので、私達のことには気付かなかったようだ。
「さっきだよ。
そしたら、この時計が停まってるのに気が付いて、今、螺子を巻いた所なんだ。」
「そいつはありがとう。
いつも気を付けて螺子を巻いてるつもりだったんだが、いつ切れたんだろうな。
…ところで、あんた達、注文は何にする?」
「そうだな…じゃあ、俺はコーヒーとなんでも良いから食べるものを頼む。」
「では、私は紅茶とオムレツを…」
私達は、カウンターに席を取った。
「あんたら、旅の人かい?」
「そうなんだ。
しかし、ここまでは遠かったよ。」
「遠かったってどこから来たんだ?」
「えっと…そういや、町の名前を聞いてなかったな。」
「とにかく、ここに来るまでかなり遠くて、間には民家が何軒かあるだけで…」
「あぁ、わかった。
そいつは多分、ロマーナの町のことだな。
町の真ん中に大きな広場がある…」
「そうそう!そこだ!」
「よくもあんな所から歩いて来たもんだな。
馬車に乗って来りゃあよかったのに…」
「馬車なんてあったのか?」
「あぁ、1年ほど前から乗合馬車が出来たんだ。
ここに来る途中、出会わなかったか?」
「しかし、そんなものは見なかったが…」
二人の会話を聞いているちに、私の頭の中にその理由が浮かんだ。
店の主人が厨房に引っ込んだ隙に、私はそのことをセルジュに耳打ちした。
「わかったぞ、セルジュ、馬車をみかけなかった理由が…」
「どういうことなんだ?」
「つまり、この町はまだ死んでいたからだ。
ここからの馬車は出ていなかったんだ。」
「何っ?じゃあ、こことグレンのいる町では1年の隔たりがあるってことなのか?」
「……それはよくわからない。
だが、グレンが馬車のことを言わなかったのは、そういうことなのか、それともただ知らなかっただけなのか…」
「……よそうぜ、レヴ。
こんなこと考えてたら、なおさら頭がこんがらがっちまう。」
「そうだな…君の言う通りだ…」
この世界の時間は一体どうなっているのか?
とても気にはなるのだが、今はそのことは考えない方が良いように思えた。