「異世界ファンタジーで15+1のお題」一
010:素敵な魔法
「レヴ、きっとあれだぜ!
あんな所に、脇道があったんだな。」

私達は、喫茶店の主人に教えられた自称・魔法使いの老婆の家を目指し、町の入口付近に引き返した。
そこには、言われた通り、細い脇道が存在した。



「とにかく、ここをまっすぐ行けば良いんだな?」

「そうらしいな。」

「…なぁ、レヴ…ルシアは婆さんの所にいると思うか?」

「それはわからない。
しかし、そこへ行った可能性は高いような気がする。
なにか手掛かりでもみつかれば良いのだが…」



脇道は山へと続いており、周りの風景はどんどんと山深くなって行く。



「だいぶ、暗くなって来たな。
ランプに火を入れるか?」

「セルジュ…あそこに灯かりのようなものが見えないか?」

「本当だ!きっとあそこが魔法使いの家だな!」

私達はすでに老婆の家の近くまで来ていたようだ。
灯かりが見えたことで、俄然、元気の出た私達は足早にそちらへ向かった。



そこは、人が住んでいるとは信じられないようなあばら屋だった。
なにやら、薬草のような香のような妙な香りが漂っている。



「婆さん、いるか?」

セルジュが扉を開けると、その香りはさらにきつく感じられた。




「だれだい、全く騒々しいね。」

しゃがれた声と共に中から現れたのは、足首まである真っ黒なローブをまとった老婆だった。
これで、三角の帽子でもかぶっていれば、まさに童話に出て来る悪い魔法使いそのものだ。



「俺達は、レヴとセルジュってもんだ。
ちょっと婆さんに聞きたいことがあってな。」

老婆は私達のことをじろじろと眺め透かす。

「そんな所にいたんじゃ、話も出来ないだろう。
さ、中へおはいリ。」

老婆に促され、私達は小部屋へ通された。



「婆さん、これは何のにおいなんだ?
ひどいにおいだな。」

「魔法の薬を作っとるんじゃよ。
おまえさん方も、薬をもらいに来たのかい?
それとも魔法がお望みか?」

「そのことなんだけどな…
実は俺達、人を探してるんだ。
探してるのは…」

セルジュは、ルシアの特徴について老婆に詳しく説明を始めた。

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