「異世界ファンタジーで15+1のお題」一
「わかった。
…じゃあ、とにかく行って来るよ!」

「ありがとう…」

人形はそれだけしか言わなかった。



私達が外へ出ると、空はもう赤く染まっていた。
日が沈むのは時間の問題だ。
私達は、元来た道をゆっくりと後返る…



「もうしばらくしたら霧が出て来るんだな。
…ところで、レヴ…さっきの話どう思う?」

「さっきのどの話だ…?」

「全部だ…」

「全部か…
…一言では言いきれないな。」

「あんたらしい返事だな…」

セルジュが、苦い顔で微笑んだ。



「なぁ、レヴ…
あの人形はあと少しでこの世界は甦るって言ってたが…そうなったら、あんた、どうするつもりなんだ?」

「どうする…?」

その時、私は、セルジュの考えていることがわかったような気がした。
おそらく彼は、私と同じことを考えているのだと。



「君と同じこと…」

「え…俺と?!」

一瞬の間を置いて、セルジュは笑い出した。



「あんたも、見掛けによらず相当なおせっかいだってことだな。」

やはり思った通りだった。
彼は、私と同じことを考えていたのだ。
この世界が元の通りに甦ってもなおここに留まり、あの人形を元に戻す方法を探そうと…



「私は几帳面なだけだ。
中途半端なままで放り出すのが嫌いなんだ。」

「じゃあ、俺もおせっかいじゃなくて几帳面なんだな。
カタを付けなきゃ気が済まない性格なんだ。
よし!話は決まった!
じゃあ、その前に螺子巻きをさっさと済ませてしまおうぜ!」

セルジュが、微笑みながら私の肩を叩く。
ちょうどその頃、あたりは暗くなり、そしてあの真っ白な霧が立ち込めて来た。



「待ってました!
じゃあ、行くとするか…」

男同士が手を繋ぐのはなんとも気持ちの良くないものだが、迷って離れてしまっても困る。
私は、セルジュの手首をしっかりと掴み、白い霧の中を歩き出した。

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