「異世界ファンタジーで15+1のお題」一
「あぁ~、生き返った!
ありがとうよ、婆さん!」

「おまえさんは、本当に大袈裟な男じゃのう。
ところで、あんたらこんな所で何をしとったんじゃ?」

「実は、霧を待ってたんだ…」

「霧?」

「なぁ、婆さん、今日はなんで霧が出ないんだ?
何か、特別な日かなにかなのか?」

「霧が出ないことをなぜそんなに珍しがるんじゃ?」

「だって、婆さん、昨夜言ってたじゃないか。
このあたりには夜になると霧が出るって。
その霧の中をさ迷うと、この世ではないどこかへ連れ去られて、二度と帰って来れなくなるって…」

「なんじゃ、その話は?!
そんなおかしな話を、わしが言ったと…?
……おまえさん、夢か何か見たんじゃないか?」

「何を言ってるんだ!
昨夜のことだぜ!
俺は、婆さんからその話を聞いた。
俺だけじゃない。このレヴもだ!
なぁ、レヴ!」

私は一応頷いたものの、セルジュのように強く言い張る気にはなれなかった。
老婆の話ぶりから察するに、きっとまたなにかおかしなことが起こっているのだということを私は感じとっていた。

霧が現れないということは…
何者かが、私達が人形の所へ行くのを邪魔しているということではないのか?

言った、言わないと口論を続ける二人の間に入り、私は老婆にお茶を出してくれるようにと頼んだ。




「レヴ!なんでもっとしっかり言ってくれないんだよ!」

「セルジュ…もうやめろ。
きっとこれも何者かの差し金だ。」

「え…?差し金…?」

「つまりだな。
あの老人が嘘を吐いているわけではなく、きっと、何者かが私達を人形の所へ行かせないようにしてると思うのだ。」

「ってことは、何か?!
この世界を封じこめた狂人がやっぱりまだ生きてるってことなのか!?」

「それはわからないが…
そういう可能性もあるかもしれないな。」

「可能性も何もそうに決まってるじゃないか!
畜生…!
そういうことだったのか…」

「だから、婆さんにはあれは思い違いだったと言っておけ。」

「えーーっ!
俺は間違ったことは言っちゃあいないのに…」

「そのことなら私がよくわかっている。
…面倒だから、ここは君の方が折れておけよ。」

セルジュは渋々、その話を承諾した。
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