あなたには音をあたしには色を
1.
例えるなら、ピカピカに光る銀の針。
………
光郎(ミツロウ)のギターを初めて聞いた時の衝撃を、あたしはそんな風に言葉で表現した。
「銀の針が? パラパラ降ってくんの? あぶないなあ」
友達の一美(カズミ)はライヴハウスの帰りのマックで、興奮しているあたしを一瞥しながらそう言って笑った。
「ちーがうの! 尖端はね、何かを傷付けるためにある訳じゃないの! ただ、刺激のためだけにあるのよ! 」
興奮しているあたしは、多分言っている事がよくわからないだろう。
一美はいつもより、面倒くさそうな顔をしてあたしの話を聞いている。
「しっかし、全然知らなかったなあ。光郎が、あんなにすごいギターひきだったなんて」
あたしは落ち着きを取り戻すように、思いっきりダブルチーズバーガーにかぶりつく。
「そう? 有名だよミッチーのギター」
「そうなの? 知らなかった! あたしだけ?」
あたしはさらにまた気持ちを落ち着かせようと、今度はポテトを頬張る。
さっきからまだずっと、あたしの鼓膜はギューーンと緊張したままだ。
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