あなたには音をあたしには色を
「……ねーねー、ミッチー。小夜子ねー、あんたのギター、まあじ感動してたよ」
意地悪な顔をした一美がヒソヒソ声で光郎にそう言うと、あたしの顔は自分でもわかるくらい真っ赤になる。
「はーー!? してないし!」
それに応えて、光郎はやけに嬉しそうに、
「えっまじで?まじで?」
そう言ってテーブルに身を乗り出してあたしの顔を覗き込むから、あたしの顔は益々赤くなる。
「まーじでっ」
そんなあたしの様子を見て、一美も面白がって調子に乗る。
「しーてーなーいーしーっ」
そんな事、本人を目の前にして言わなくてもいいのに!
光郎が調子に乗るじゃんか!
「いーーや、確かに感動してたよ」
「やったやった! まじでかー!」
「しーてーなーいっつーーの!」
そうやってしばらく、3人で押し問答。
あたしの顔は恥ずかしさで真っ赤になって、一美の顔をわざとらしく睨み付ける。
おどける一美。
………
いつもと同じ光景。
あたしと一美と光郎。
ケラケラ笑い声。
何だか安心する。
……楽しいから、まあいいか。
光郎も嬉しそうだし。