あなたには音をあたしには色を
……なんか。
なんか変だ。
この、感じ。
光郎の言葉は確かに、いつもこんな風に調子よく現れた。
元来がお調子者なんだ。
なのに、ソワソワと胸が騒ぐのは、あたしの受け止める感じが、変わったのだろうか。
音を立てて、危険を察知する。
あたしの繊細なところ。
「……何言ってんの」
「喜べよぉ」
「ははは」
「ははは、じゃねぇし。かわいくねぇ」
あたしがあなたの前で可愛くないのは、今に始まった事ではないですけど。
違いますか?
窓に映る光郎の横顔に、あたしはそう問うてみる。
それなのに今、そんな風に言われると……ちょっとだけ痛いのは、何故?
「あんた、あんなに女の子にきゃあきゃあ言われて。いいじゃん。モテモテで」
「……あはは。あーれはもう、モテモテとかは違うでしょ」
「そうなの?」
「そ、ステージマジック。……現にほら、学食でダラダラ酔っぱらいのオイラには、だあれも話しかけてこないでしょ」
「……たまたまじゃん?」
「なんせオイラには、彼女がいるとゆう噂があるらしいですよサヨコくん」
「ぶは。かわいそうじゃん、誤解されて」