あなたには音をあたしには色を



「ほんなら、まあ、行きますか!」


突然、光郎は立ち上がって伸びをしながらあたしに言う。


「……って、どこに?」


あたしが光郎を下から見上げながらそう言うと、


「どこにって、飲みに行くでしょ」


得意気にそう答える光郎。


「えーー、まだ飲むのーー!?」


あたしが嫌そうに声を上げると、


「あったりめーよ! オイラの下らないウンチクに付き合ってくれるのは、君だけよん、サヨコくん。おごってやるし」


と言って光郎がニンマリと笑う。


「……わかってんじゃん……」


そうして歩き出す光郎の後ろを、あたしもまた、追いかけて歩き出す。


………


レポートを書いていた三人組が、ヤレヤレといった顔でまたこちらを見ている。

カップルは、まだイチャついているようだ。



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