あなたには音をあたしには色を
あたしは入学当時から光郎とは気が合っていたから、何かと一緒につるんでいた。
学校でも外でも、男女である事も忘れてしまうくらいに。
2年になってすぐ、デザイン科の子達に誘われて光郎がバンドを始めた時だって、あたしはよくからかったものだ。
「ギターなんかね、絵画バカのあんたにひけるわけないじゃん」
実際、バンドを始める前の光郎はバカみたいに絵ばっかり描いてた。
毎日最後までアトリエに残るのは、いつも光郎だった。
……だから。
光郎のギターなんかへなちょこだって、勝手に決めつけてた。
あんなに好きで描いてた絵だって、結果的に半端だったんだもの。
ギターだって、半端に違いないって。