あなたには音をあたしには色を
「………」
「シカトかい!?」
無言のあたしに、光郎はわざとらしく怒鳴る。
今日はタオルを巻いていなくて、癖があって伸ばしっぱなしの髪の毛がフワフワしている。
あたしの知ってる光郎で、何だか安心してしまう。
「……違うのよ。昨日とはさ、別人だよなーーと思って見てたのよ」
「おっ? とうとう惚れたか?」
「……バカじゃん?」
「素直になれよぉ」
惚れたか?
なんて軽々しく言わないでほしい。
あたしが恋をしたのはあんたじゃないよ。
あんたのギターなんだ。
もちろんそんな事。
……言えないけど。