戯れる堕天使
「『オレ達』全般にはそうかもしれないけど、悟さんには、あるよ、利点。
あたしの憧れの人なんだもん、おごってなんかもらわなくったって、全然嬉し
い」
悟は、ちょっと、困るように笑う。
「そう。それは良かった」
「困ってるけど?」
「う・・・ん。それは『憧れの人』っていう言葉って、厄介だなって思ったから。
いいな、って思ってる子に言われると、距離を置かれた気がする」
「はあ。・・・それは、さぞかしいっぱい言われてそうだね、悟さん」
「いや。そんなこと言われたことないよ。類以外。
だいたいは『悟大好き』って言われるから」
「直球~」
「バンドのヴォーカルだからね。
身近な子には、言われないよ、さすがに」