戯れる堕天使
悟は約束通り、チケットをくれた。
会社帰りの悟が、スーツ姿で、手渡してくれた。
「ごめんね、わざわざ呼び出して」
「いえ、駅なら近いんで」
「・・・何?」
まじまじ見てるのを、突っ込まれてしまった。
「えと、スーツ姿もいいなって」
笑われる。
「類だって、制服かわいい。…ああ、高校生だったって、思い知らされちゃうけ
ど」
こっちも思い知らされる。
この間に横たわっている、年の差。
おまけに、大人と子供の境界線も、きっちりそこにはあるんだ。
「さっき、会社から連絡あって、ちょっと戻らないといけなくて」
「わかった。わざわざありがとう。忙しいのに」
「ライブでね」
悟は手を振って、行ってしまう。
人波に、溶け込んで消えていく。
普通にサラリーマン。