戯れる堕天使
「いや、泣かなくても」
類は、はっとした。
それから、自分が涙していることに気づく。
ライブは終了していた。
慌てて、涙をぬぐう。
どうも、類は、悟の声に感動して、涙する体質らしい。
「そんなに、冴島さんのことが好きなのか」
あきれたような、感心したような、友之の声がする。
類はそっちは見ずに、ステージを見つめたままだ。
「・・・てか、その次元じゃないかも」
陶酔しきった声。
「はあ?」
「・・・神、だね」
「・・・?」
類は、ステージを見たまま、身動きも出来ないでいる。
「自分と同じ階層に引き摺り下ろしちゃいけないんだよ。崇拝しなきゃいけない
んだ。ああ・・・悟様って」