戯れる堕天使
「戦うって・・・」
「冴島さんは一人しかいないんだ。
神なんだ。
そばに置いときたければ、死ぬ気で頑張れ」
ポンって、肩を叩かれる。
「ほら」
振り返ると、悟がホールに入るのが見えた。
「誰か探してる。類、じゃない?行けば?
っていうか、行け。先に話しかけた者が勝ちだ」
背中を、乱暴に押される。
無理やりに一歩踏み出さされて、振り返る。
友之が、ひらひら手を振っている。
笑って。
何となく、友之の庇護下から、放り出されたような気がする。
「類」
悟 の声がした。
目を上げると、そばにいる。
さっき、ステージ上にいたヒトとダブってしまって、喋れない。
「来てくれて、ありがとう」
ニッコリ。
きっちり営業スマイル。
多分、このまま、他の人にも、お礼の挨拶をしに行ってしまう。
何か、喋らなければ、あたしの分はコレでおしまいだ。