戯れる堕天使
言ってから、悟は類を振り返る。
「類をはじめてみたとき、男だと思った」
急にヴォーカルにを引き受けさされて、歌った後だ。
初めてのライブ。
類は力配分が出来ないで、ステージから降りた後に、ぶっ倒れたのだ。
・・・今も、力配分など出来たことはないのだけれど。
そのときが、悟に出会ったとき。
フラフラの類を、悟は助けてくれた。
「知ってる」
悟がクスリと笑いを漏らす。
「そうなんだ」
笑いが自嘲気味に歪む。
「でも、その前だか後だかに類のことを、
強烈に『あ、かわいい』って思ったんだ。
だけど、相手は男で。
オレは彼が男だって分かってから、かわいいって思ったのか、
それを気づく前に思ったのかって。実は悩んだんだ」
「・・・そんなこと、悩ませてマシタか・・・」