戯れる堕天使
「・・・気がついたか!!類」
目を開けると、控え室にいた。
「動かしていいか迷ったんだけど。・・・よかった」
ぼーっと見ていた。
それから、それが悟なのに気がついた。
「あちこち打撲してる。病院行こう。骨折してるかもしれないし」
類はじわりと全身を動かしてみた。
あちこちが悲鳴を上げている。
でも、骨折してる場所はないようだ。
「大丈夫」
笑ってみる。
「あ・・・ごめん、これ」
手の中の、クロスを、悟に差し出す。
まだ、手の中に残ってた。
『引きちぎられてしまった』
それを言うと、突き落とされたことも、言わないといけない。
だから、
「・・・切れちゃった」
「そんなの、いいから」
悟は受け取らないで、代わりに、横たわっている類に、
一瞬覆いかぶさるようにして、抱きしめた。
触れられた、肩がうずいて、類は思わずうめいた。
「・・・ごめん」