戯れる堕天使
氷のような中身を、類にだけ、見せる。
ひややか。
冷酷。
ぞくっとした。
神様は何で、こんな中身を持った人間に、
こんなに魅力的な見た目を与えちゃったんだろう。
次の瞬間には、タケルはいつものようにニッコリと微笑んでいた。
黒い羽根は、折りたたんで、きっちり背中の後ろに隠して。
何でか。
類は周りを見た。
先にドアを出た悟が、数秒遅れて、
タケルに気がついて振り返ったから。
「類ちゃん、怪我したんだって?大丈夫?」
タケルは、平然と、言う。
『大丈夫で、残念だったんでしょう?』
怖いから、訊けないけど。
本当は訊きたくてたまらない。
なんて答えるんだろう。