勇者様、魔王様と旅をする ぷれ編
「じぁねっ!ジルちゃん、くれぐれも怪我はしないようにねー」
後ろで手を振る家族に溜め息しかでない私。
何ですかこれは。
背中には旅の荷物が入った茶のリュックを背負い、何故か太股に巻きつけられたホルダーには新調したといわれた武器が。
この武器がまたまた不思議で長さが十ノールしかない。
これでは何にも使えないと思いこっそりリュックの横ポケットに小銃、腰に巻き付けたベルトにナイフを数本、使い慣れた短剣を一本。
くそうっ、懸賞金二割ほどぱちってくれるっ!!
倒す気満々の私に、怖いものはないんだっ!!
グッと拳を握って深く昏い森の前で立ち止まる。
「ふぅ、絶対にやってやるんだからっ!」
1人意気込んでいたら、
「いやぁああああっ!!!」
悲鳴が聞こえてきて条件反射で駆け出す。
元来た道には私の育った村とあとひとつ、村がある。
行き道に挨拶してきたところだっ!!
根っからの正義感が走れ、と命令を下す。
そして、駆けつけたその先には魔族と呼ばれるモノが二匹。
民家を襲っていた。
「いやっ!!たすけ………っ!!」
喰われそうになっている女の人を見て足が動いた。
吹き飛ぶ、巨体。
筋肉と呼ぶのかわからないがそれなりにがっしりしたやつだったが今の私に敵はないの。
「こんなとこで、お食事ですか。随分といいご身分ですね」
冷たく、あしらうがどうやら知能は余りないらしい。
声というには余りにもお粗末な威嚇の鳴き声にクスリと笑みが漏れる。
二匹は完全に頭に血が上っていて猪突猛進、猪なんて風貌じゃないのにそれに見えてきて。
「馬鹿じゃないですか」
腰から下げていたベルトからナイフを抜いて魔族の心臓と頭に目掛けて投げる。
魔族は、どちらかに’命の源‘があるから一気に潰せば何てことはない。