勇者様、魔王様と旅をする ぷれ編
「___侵入者だぁ……」
「………」
上から降ってきた男は眠そうな声で私を侵入者だと言い、眠そうな瞳で私を捉える。
「……おねーさん、魔王様を倒しにきたの?」
「……そんなとこです。」
なんか、相手は魔族だというのにほのぼの感が否めないのはどうしてだろうか。
「……そっかー、じゃあしょうがないね。」
彼は一瞬俯いて、顔を上げる。
その一瞬で姿が変わってしまったことに、驚く。
「………っ!!!」
「……一応、言っとくね?………魔王様のとこまで、行かせないよ」
なんともっ!
迫力のない脅しに嗚呼っ!なんと言うことでしょう!
目の前の魔族には、魔族の頭には……!
ふたつの白いふさふさそうな、
「………うさみみ」
ウサギの耳がついていたのでした。
「ふぁ………やる気でないからかえってほしいなー」
「………っ!そういうわけには行きませんっ!」
触りたい衝動に駆られるが、彼の言うことに我に返る。
「じゃあ、通してください。」
「……それは、だめ。怒られる………」
やるきがでないのか欠伸をしている。
「ねぇ…………おねーさん、魔王様殺しちゃうの?」
「うーん、殺さないと私、生活できないのです。」
「………それは、困るね。」
うーん、と考える仕草をしてるうさみみの魔族はポンッと手をたたいて
「……じゃあ、おねーさん、俺のこと護ってくれる?」