勇者様、魔王様と旅をする ぷれ編
「………は?」
「……だからね、俺。おねーさん、連れて行ったら魔王様に怒られちゃうの。だから、………護ってくれるなら、連れてく……」
目をこすりながら、むにゃむにゃと言う彼はなんとなく保護欲が湧いてくる……っ!
「……頑張って守ります」
「………ほんと?じゃあ、……いくよ」
とろんとした瞳で私を捉える。
____その瞬間、
「……ひ、ひゃぁぁあああっ!!!」
「……あれ、ごめん。」
いつの間にやらうさみみに抱き抱えられてて跳躍、というよりかは飛んでるに近い高さで私はうさみみに抱えられてる。
「……な、な、な、何ですかぁっ!」
もはや涙目だ。
私は、高所恐怖症なのだっ!
だから、予告も振りもナシにこんな事されたら死んでしまうよっ!
「………もうちょっとだから。がまん……」
「………ーーーーーっ」
トンッと軽い音が響いて地面に脚が着いたと思った瞬間に腰が抜けてへなへなと座り込んだ。
「………大丈夫?………ぁ。」
「……ぇ?」
うさみみが声をかけてくれたときにどす黒い空気が流れてきて俯いていた顔を上げる。
「………魔王様、」
「えっ!?」
思わずあげてしまった声はもう飲み込めない。
ぎょっとしてから、我に変え………れなかった。
「なんでっ!何で、待ちかまえててくれないのですかぁっ!!!」
「「____へ?」」
うさみみと魔王様がハモった。
「普通はっ!勇者が行くものなのにぃっ!!デキレースでいいですよっ!だから、リアルにしないでくださいっ!!」
「__なぁ、顔上げなよ。」
ぐすんぐすん、と恐いやら哀しいやら期待外れやらでぐちゃぐちゃな気持ち。
もう、何でなの。