可憐な華にくちづけを





赤い唇と同様に髪は真っ赤だ

暗闇の中ではその度数を見極めるのは厳しい。





「クーデターは古臭いさ、でも僕はそれでもあの国を欲する。」


「……何故だ。」


「…君には教えない。」


「……。」


「きちんと、僕の下僕となるなら考えるよ。」



その瞬間の彼の付き添いの鋭い目付き

切れ長の目が一層、迫力を増す。




「ふふっ…さぁ、もう帰った方がいい。今日は違うお客さんが来るんだ。」


「…失礼する。」


「うん、じゃあね。」



赤い苺の唇はまだ笑っていた。





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