可憐な華にくちづけを
湯から上がると部屋には食事が用意されていた
部屋に用意されたということは
今日はお父様が不在。
一人での夕食は当たり前のこと、
慣れたようなもの。
「貴絵お嬢様、髪を乾かさなければ風邪をひいてしまいます。」
「…あぁ、そっか藤原じゃなかったわね。」
「……。」
何も反応を示さない彼にくすっと笑った。
「私の髪を乾かすのよ、あなたが。」
「わかりました。」
藤原がいつも乾かさない私にしてくれた
なんだか気持ちくて、そのまま寝てしまったことが何度もあった。
もう、それも無くなってしまうのね、
少し寂しい気もするけど
これを望んだのは自分だわ。
「貴絵お嬢様、失礼します。」
「えぇ、早くして頂戴。」