可憐な華にくちづけを








「お疲れ様です。」


「藤原さん、お疲れ様です。」



真夜中の玄関





「こんな時間にお出掛けですか?」


「はい。勤務時間が終了と同時に外出を得ると言う約束で契約しました。」


「…そうですか、何処へお出掛けに。」






しずまる空気 1㍉たりとも微動だにしない
ーーー隙がない。






「ほほっ、すみませんね。詮索されるのはお嫌いなようですね。」


「…いえ、それでわ失礼します。」


「貴絵お嬢様はどうでしたか」





歩き始めた足をピタリと止めた。







「…とても、素敵な方ですよ。」


「それはそうでしょうね。あのお方はこの国のーーー…次期王女です。」






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