可憐な華にくちづけを







「…退屈ね、」



バサッと藤原から渡された資料に一通り目を通した。だけど通しただけ、頭の中に入っているはずないでしょう?

こんなの見たって分からないわ。





「…蓮。」


「はい。」


「あなた…チェスは好き?」


「…はい?」














――――特命全権大使、もっとも階級の高い大使様、ね。国際器官の政治代表…そして、驚いたことに、


私と齢が同年。



その齢にしてその身分
早くから両親を亡くし、一人で、

頭がきれそうね。



さて、私の役目もやらなきゃいかない
お父様の本来の目的を

私が。







「王手。」


「あ…。」


「あなた、弱いのね?」



蓮はふぅっとため息をついた。





< 37 / 164 >

この作品をシェア

pagetop