可憐な華にくちづけを
「…退屈ね、」
バサッと藤原から渡された資料に一通り目を通した。だけど通しただけ、頭の中に入っているはずないでしょう?
こんなの見たって分からないわ。
「…蓮。」
「はい。」
「あなた…チェスは好き?」
「…はい?」
――――特命全権大使、もっとも階級の高い大使様、ね。国際器官の政治代表…そして、驚いたことに、
私と齢が同年。
その齢にしてその身分
早くから両親を亡くし、一人で、
頭がきれそうね。
さて、私の役目もやらなきゃいかない
お父様の本来の目的を
私が。
「王手。」
「あ…。」
「あなた、弱いのね?」
蓮はふぅっとため息をついた。