可憐な華にくちづけを
「確か母が異国の人間です。」
「異国の?…どこの出身?」
「わかりません、母方の記憶は曖昧です。」
「そう。」
あまり良い話じゃなさそうね
こんな辛気臭い話は苦手だわ。
「次は何しようかしら…蓮の特技はなに?」
「特技、ですか。強いて言うなと社交ダンスですかね。」
「へぇ…意外だわ、その貧相な身体で。」
「タンゴなどとても興味深いです。」
今日の蓮は昨日の姿とは異って変わる
口は饒舌だし 妙に表情だって柔らかい
少しずつ近づけたのかしらね?
「ふふっ、じゃあ二人で踊る?」
一瞬驚いたような表情をとったが直ぐに
「いいですよ、」
悪魔のように微笑んだ。