可憐な華にくちづけを
コンコンとの合図にドアが開かれた
藤原、だ。
「手続きは済んだの?」
「はい、貴絵お嬢様に害がなさらぬよう。」
「あら、嫌みかしら?」
「いえ、でも私も貴女様の才能が台無しになってしまうかと思いましたから。」
「貴方も言うわね。」
白髪混じりの年配の藤原は背筋がピンっとして綺麗で、まだ燕尾服が似合う。
長年この城の執事として務め
お父様のお気に入り。
「お嬢様にご報告がございます。」
「報告?」
「はい、先日切り捨てなされた本家の全員の執事達の事ですが。」
「あぁ…、」
私の大嫌いなすずらんの花を飾り
美しいですよ、と私に見せて来た人達だ。
数人は私が嫌いなことを分かっていながらも
止めようとしなかった
それはどんな意味を示すのか
だから私は藤原以外の召し使いを全て切り捨てた。