可憐な華にくちづけを
「キャッ…!」
「っと…危ないですよ、貴絵お嬢様。」
バランスを崩した私を軽々と支えた
私たちのダンスはピタリと止まる
ただダンスの曲が響いているだけ。
「……。」
「貴絵お嬢様?」
私は何を思ってしまったのかしら
欲しい、なんて…。
この、赤い唇に触れてしまいたい
興味深い唇ね、
とても官能的でいやらしいほど、
私の脳内を混乱させる。
「貴絵お嬢様…?どうなさいました?」
蓮の唇に、そっと 手を伸ばす
頬に手を当て 親指の腹で唇を優しく 撫でた
「っ…、」
わざとく 唾液を使い音を立てながら
蓮のようにいやらしく。
―――…触れてしまいたい。
「貴絵お嬢様。」
がっしりと掴まれた腕
唇から離された手
しまった、と直ぐに感じた。