可憐な華にくちづけを
――――――
「今日はお出掛けにならないのですか?」
「藤原さん。…はい、そうです。」
「いいのですか?そう言った、契約なのに。」
やはり夜の二人のこの空間には
ピリッとした空気。
「今日は、いいんです。」
「そうですか…。それは、こちらとしても喜ばしい限りですね。」
クスリと笑みを見せ、鋭い目付きへと急変する
。
「―――惑わされたのでしょう?」
低い声が夜の冷たい空気に響いた。
「貴絵お嬢様に、」
ドクンと心臓が脈を大きく打つ。