可憐な華にくちづけを
―――困ったわね。
案の定、私の周りには権力や馴れ初め相手しか現れない。くだらない話を聞いて、毎日貴族達は楽しいのかしら。
「はぁ…」
聖司も本業を発揮したのか、貿易会社との運営について熱心な話を始めた。
でも、とりあえず近くには居る。一応見守ってるってことかしらね?
「すいません、少しお話宜しいですか。」
「……。」
私の目下に方膝をつき頭を下げた人物。
「どうぞ。」
さっきまでくだらない話をしていた周囲の人間は彼を見るなり去っていく。
「あなた、お名前は…?」
「神取風斗と申します。」