可憐な華にくちづけを
The warmth that is wrapped up
「お帰りなさいませ、貴絵お嬢様。」
「…蓮、後に部屋に来なさい。」
「かしこまりました…聖司様、お洋服を」
「ごめん、今話しかけないで。」
蓮に構うほどの気力もない
やだわ、ほんと。こんなにも
怒ってるんだもの―――
馬車に乗ったって一切口を開かない
無言のまま頬杖をついて外の様子を見ているだけ。
いつもの脱力感やキラキラしたものは
どうしたのよ?
そして香水臭い彼の体臭
たくさんの香りが重なったような感じね、
まぁ―――あれだけ囲まれてたならね?