守りたいモノ
―――鈴(リン)の森
「「真っ暗~。」」
2人の揃った声と2人の足音が
静かな森に響く。
すると、
急に紅がピタリと
足を止めた。
それに
つられて蒼も歩みを止めた。
辺りの音はなくなった…。
「紅ー、どうかしたのかー?」
蒼は止まった紅を
不思議そうに見つめ、
首を傾げつつ、
顔を覗き込んだ。
「蒼、黙って…。」
彼女は、
ルビーの様なその瞳を
静かに伏せ、
あたたかさの感じられない
森にそっと耳を澄ませた。
「……みんなが…、いない…。」
紅はそういうと、
蒼の手をギュウと
握り締めた。
蒼は
よく分からないまま、
辺りを伺うように、
耳を澄ませた。
「本当だ…。
何にも音がしない。
……誰かがいるんだ…。」
紅と蒼は
互いの顔を見ると、
同時に頷き合い、
奥に歩みを進めた。