守りたいモノ


―――玉の湖


湖の近くには、森があり、
湖は森で守ってもらっている
と言っても過言ではない。
そんな奥深くでは、軽い足音がカサカサと
羽根を動かす、シュッという音が
静かな森の中に響いているが、
耳には心地よい音であった。

森の奥で白い毛並みを持つ狐が、
駆け回っていた。
それは神々しく、
木々の木漏れ日が当たると
キラキラと輝いていた。

同じく、
奥深くで、緑…というより
エメラルドグリーンの
羽を持った巨大な鳥が
木々の間を猛スピードで
飛び回っている。


しばらくすると、
彼らは太陽の光が水面に反射し、
キラキラと輝く湖に近づくと、
狐も鳥も人の形に音もたてずに戻り、
狐の方は鳥の方を待ち、
隣に来ると湖へ歩みを進めた。


「何も
見当たりませんでしたね。」

鳥であった声の主は女性…翠であり、

「そう簡単には来ないでしょう。
あちらも警戒していますからね。」

そして、
狐であった声の主は、狛であった。

狛は何気なく、空を見上げると
自分達の帰るべき場所から出た時と変わらず
青空が広がっていた。





< 16 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop