守りたいモノ
―――鈴の森
ザクッザクッザクッ
季節、というものが魔界にはないが、
ここは今、寒いせいなのか
木々が枯れ、茶色の絨毯がひいてあるため、
歩く度に音が静かな森に響くのであった。
「紅、寒くない?」
蒼は隣を歩く、自分と変わらない
双子の妹を心配しつつ
森の奥に足を進めている。
「紅は平気。蒼こそ、大丈夫?」
紅は心配する兄を少し過保護すぎると
前々から思っているが、
そんなところも良いところだと
少し笑みを浮かべながら、
正面から横の蒼に視線を移した。
その瞬間、一瞬だけ人影を見た。
すぐさま、視線を勢い良く戻し、
辺りに耳を澄ませた…
微かながら、軽い足音がするのを耳にした。
そして、紅は蒼に耳打ちをし、
双子はニタリと口元に笑みを浮かべ、
2人の武器である拳銃を取り出した。
紅のは、ボディーが赤で、「烈火」
蒼のは、ボディーが青で、「時雨」
この2つの拳銃は対となっている。
普通ならば、2つを1人が使うものだが、
彼らは双子。
彼ら曰く、「2人で1人」らしいので
これらを使っている。
そして、ここに来て初めて、二手に別れた。
紅はそのまま歩みを進め、
蒼は人影を去っていく方へ方向を変えて、
歩みを進めた。