守りたいモノ
「ジュリア、
おはようございます。
起きられましたか?」
彼はドアを開けず、
ドアの外から声をかけた。
「………。」
中から声が返って来ず、
彼は少し不安になり、
ドアを勢い良く開けると……
"ゴンッ!!"
と、
ドアを開けたと同時に
鈍い音が聞こえ、
彼はさらに慌てて
部屋に入った。
彼の予想通り、
ジュリアはドアに頭をぶつけ
痛そうに頭を押さえ、
痛みに耐えつつ、
しゃがんでいた。
「なんでドアに
頭ぶつけるんですか?
声掛けたんですから、
返事をして下さい。
心配して入って来るのも、
予想出来るでしょう。」
彼は
呆れたような口調で
一気に言うと、
慣れた仕草で、
ジュリアに手を差し出した。
彼女は
彼の手を借り、
立ち上がっては
少し口を尖らせつつ言った。
「だって、
狛のこと驚かせて
見たかったんだもん。」
狛と言われた彼は
クスクスと笑いながら、
「はいはい。
まぁ、怪我しない程度に
頑張って下さいね。」
ニッコリと笑って
そう言うと、
ジュリアは一層、
口を尖らせた。
「ジュリア、
もう朝ご飯出来ていますから、
早く着替えて
降りてきて下さいね?
みんな下で待ってますから。」
彼女の様子を見ては
フフッと笑い、
彼はそう言って、
部屋を出て行った。
彼女は
それを聞くと、
慌てて着替えを済ませ、
ドタドタと
慌ただしく下に降りて行った。