目印は、柘植の木
同窓会は欠席のつもりだったのに、気が変わったのは最近よく見る夢のせい。
サボり仲間だった6組の葉山くんは、人気者なのに独りを愛する人だった。非常階段、使われてない教室。何度かサボり場所が重なった。二人でいると独りになれないよねって気を遣う私に、私といる孤独は居心地が良いと言ってくれた。
私の足は、会場ではなく、母校へ向っていた。
ひょんな話から、二人で埋めたタイムカプセル。
初めての同窓会の日に、掘り起こそうって約束した。
目印は、左から三番目の柘植の木。
時間を決めていた訳じゃない。そもそも、彼と会うのは9年振りだ。
「よう。久し振りだな」
引き締まった大人の男の顔をした葉山くんは、あの頃のように屈託なく白い歯を見せて笑う。
「じゃあ、やりますか」
バッグに忍ばせていたハンドスコップを顔の横に掲げて、彼の笑顔に頷いた。
サボり仲間だった6組の葉山くんは、人気者なのに独りを愛する人だった。非常階段、使われてない教室。何度かサボり場所が重なった。二人でいると独りになれないよねって気を遣う私に、私といる孤独は居心地が良いと言ってくれた。
私の足は、会場ではなく、母校へ向っていた。
ひょんな話から、二人で埋めたタイムカプセル。
初めての同窓会の日に、掘り起こそうって約束した。
目印は、左から三番目の柘植の木。
時間を決めていた訳じゃない。そもそも、彼と会うのは9年振りだ。
「よう。久し振りだな」
引き締まった大人の男の顔をした葉山くんは、あの頃のように屈託なく白い歯を見せて笑う。
「じゃあ、やりますか」
バッグに忍ばせていたハンドスコップを顔の横に掲げて、彼の笑顔に頷いた。