【続】苦いコーヒーと甘いココア 〜バレンタインデー編〜
「……はい、出来たっ」
そう言ってぽんっと肩をたたいて
晴樹が離れていくと
やっと強張っていた身体がとける。
「なに緊張してるの?」
笑いながら言う晴樹に
「ばか……」
ちょっと怒り気味に返す。
好きな人が近くにいると
緊張するんです、そんな意味をこめて。
いつだってそう。
緊張したり照れたりしている私とは対象的に
余裕のある晴樹。
そりゃ、晴樹は五個も
年上だからかもしれないけど…。
コーヒーを優雅に飲む晴樹をちょっとだけ睨む。
「………っ!」
ふと視線を上げた晴樹とバッチリ目があって、
顔の温度が上昇するのが自分でも分かる。