【続】苦いコーヒーと甘いココア 〜バレンタインデー編〜




校門では先生が微妙に視線をそらしながら、いつものように挨拶している。



先生も大変だなぁ。


きっとバレンタインデーだから、

校則違反のチョコ持ち込みも許したいんだけど


見つけたらやっぱり教育者として

没収しなきゃいけないんだろう。


だから、きっとわざと視線をそらして、

チョコを見つけないようにって。


「おはよう」

「おはようございます…。」


そんな先生に憐れみの視線を向けつつ、挨拶を済ませると

チョコレートのせいで重い荷物を抱え直し、

甘い香りの漂う教室へ向かった。





教室ではもうすでに、チョコ渡しが始まっていて。


「あ、鈴〜!はい、これ!」


席につくなり、そう言って隣の子から

ラッピングされた袋を手渡される。


「桃子(ももこ)ちゃん、ありがとう!」

そうお礼しつつ、私も昨日作ったチョコを差し出した。

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