【続】苦いコーヒーと甘いココア 〜バレンタインデー編〜
「ねぇ、鈴は好きな人いないの?」
私のチョコをしまった桃子ちゃんは、
周りを気にしつつ、声をひそめてそう言った。
「い、いるよ!」
晴樹の顔を思い浮かべ、顔の温度が上昇するのが分かる。
それをみた桃子ちゃんはニヤニヤしながら
「そうだった。晴樹くん、だっけ?」
そう言って真っ赤な私をつつく。
「う……、そういう桃子ちゃんはどうなのよ」
話題をそらす。
「私は……湊(みなと)くん、かな…」
その瞬間、恋する乙女の顔になる桃子ちゃん。
「湊くんかぁ〜」
声大きい、と私の口を慌てて抑えてくる。
ふと視線を桃子ちゃんの鞄に向けると
ひらりと赤いリボンが出ていた。
きっと湊くんにあげるんだろうなぁ〜
でも、きっと桃子ちゃんは相当の緊張を持っているだろうから
湊くんへの告白についてこれ以上聞くのはやめておいた。
明日、桃子ちゃんの表情が晴れていればいいなぁ…
そう願いながら。