恋の魔法に



「あ、ありがと……」



私の腕をまだ掴んでいる結城くんの手に視線を落とす。


強く掴んでいるわけでもないのに腕が熱く感じられた。



「……先輩、好きな人いたんですか」


「えっ? い、いないよ?」



さっき、校門の前にいたまんまるの瞳の猫を思い出す。


そんな目で見つめないでよーっ!


でも、結城くんはどっちかといえば犬っぽい。



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