恋の魔法に


なにもしゃべらずただお互い顔を見つめる。

結城くんは口を小さく開いては閉じてを何回か繰り返していた。

やっぱり前のようには普通にはしゃべれないんだね。


「葉山……おまえはどこに並んでるんだ?」

「へっ……あ、すみません」


担任の先生の声がすぐ後ろから聞こえて自分の場所へと戻る私。

校長先生の長い長い話なんて全然耳には入らず、ただぼーっと前の人の背中を見つめていた。

なんで私こんなに結城くんのこと気にしてるんだろ。


『葉山先輩!』


前みたいにそうやってまた呼んでほしい。

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