恋の魔法に



胸の前で抱えた体育館履きの袋をぎゅっと抱きしめる。


泣きそうだなんて。
私、考えたこと顔に出すぎなのかな。


「ねえ、志帆……」

「ん?」

「私ね、前みたいに結城くんとしゃべりたいって思ってるの。先輩!って呼ばれたいの」


教室までの階段を一段一段ゆっくりと上る。

後ろに人はいない。
体育館出るの遅かったもんな。


「好きって言われて、つきあえないって言ったのは私なのに。自分勝手すぎるよね」


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