恋の魔法に

放課後なのに誰も図書室には来ない。

勉強しに来る人とかあまりいないのかなぁ?

閉められた図書室のドアを何気なく見つめてると、


「葉山先輩」


きゅっと上履きの音が聞こえて視線をあげる。


「あ……いきなりごめんね? こんなとこに呼び出して」

「いえ……」


壁にもたれかかっていた背を正し、結城くんをまっすぐと見た。


ここ……声がよく響く。

静かすぎるからだろうな。


「気まずくなるの嫌だよ。結城くんと前みたいに話したいの」


ちゃんと……言えた。


目を少し大きく見開いてる結城くん。だけど、それは一瞬だった。

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