恋の魔法に
窓から視線を外して隣にいる志帆に向ける。
別れの季節がやってくる。
なぜかこの季節になると私は卒業ソングやしんみりとした曲を聴きたくなるんだよね。
はて、なぜだろう。
「バド部の先輩はみんな推薦でいったから随分と前に進路決まってたんだよね」
志帆は携帯をポケットに入れ、窓へと視線をやった。
横顔も素敵な志帆ちゃん。
まつげ長いなぁ!
「先輩すごいねー! 進路かぁ……3年生にあがりたくないなぁ」
「え、莉子さん留年したいの」
「そーじゃなくて! ちゃんと進級したいよ、そりゃ」
ふふっと笑う志帆。
あー、もう。可愛いから許す。